子供同士のお泊り会という行事が、夏休みに活性化している。
まず、「ゆず」がお友達からお泊りに誘われた。
本人ではなく、お母さんからである。
本人よりも先に、母親ネットワークが発動し、すぐさま応酬が始まる。
(LINEという名のメール連絡)
そうして、あっという間に日程調整まで終わる。
が。
そこで準備終わりではない。
あくまで子供が誘ったという体(てい)をとらせたいので、
本編は、友達が誘ってきてからの開始となる。
段取りはできているので、遊んできて帰ってきた時には、
「ママぁ、〇〇ちゃんが、お泊りに来ていいよ、って。行きたい!」
「へぇ、よかったねぇ!じゃあ、準備しようか」という、
至極段取り掛かった流れであるが、自然な形でお泊りへ雪崩れ込んでいく。
招待する側はいろいろ準備が必要であるが、招待される側も準備が必要である。
まず、お泊りグッズの用意、なぜかこの日のために新しいパジャマが購入された。
(防御力が10上がった)
さらに、お礼のお菓子やおやつ、高級羊羹と普段買わないようなおやつが用意された。
(接待力が15上がった)
そして、宿題。一緒に勉強するためらしい。
(テンションが6下がった)
当日は朝からソワソワしている。
もう「ゆず」の周りに、「ソワソワ」という文字が浮いて見える。
いつも以上に落ち着かないし、
早く行きたくて仕方ないのだが、待ち合わせは午後2時だった。
「まだ行かないの?」「まだ9時だよ」
「まだ行かないの?」「まだ9時20分だよ!」
「まだ行かないの?」「やかましい!!」
高いテンションには、さらに高いテンションで迎撃することで、静まることが多い。
そんなこんなで午後2時前には、飛んで行けるんじゃないかという勢いで、
ママに送られながら、お友達の家に行ってしまった。
その夜のまぁ、静かだったこと。
普段顔を合わせればケンカしがちな「もも」でさえ、
「今頃、何してるのかなぁ」なんて言いながら、ちょっと寂しいらしい。
万が一、夜泣きして、
「やっばり、がえるぅぅ!」となることも想定していたが、
案外何事もなく夜は更けていった。
次の日、朝10時に迎えに行くと、
十分楽しんだと思われるが、ちょっぴり寂しい感じの「ゆず」が、
昨日持って行った荷物とともに現れた。
窓を見ると、お友達が、輪をかけて寂しそうに、ジッと見つめている。
あぁ、楽しかったのね。
ご両親にお礼を言って帰路につく。
家に帰ってからは、あれこれしたこと、うちと違うこと、夜寝られなかったことを、
怒涛の如く喋り倒して、疲れて昼寝をしてしまった。
夏休みのよい思い出になったようで、絵日記にも書いていた。よかったよかった。