めまいと入院があってから、すっかり仕事で自信をなくしてしまった。
また入院しちゃうかもな、とか、
また回ったら困るな、とか。
担任をしていると、正直休みを取りにくい。
かといって、休まざるを得ないことはこれからも多いだろう。
何となく自分の仕事における責任感を考えると、
できないことが増えたのに、仕事量が変わらないのでは、
また潰れるだろうなと思っていた。
・・・といったことを復帰する前に校長と教頭に話をした。
すると、「では、算数の専科はどうですか?」と打診された。
算数の専科は3年生以上を相手にする。
で、各学年5時間だから、持ち時間は20時間。
専科だから、当然保護者の対応は(ほとんど)ないし、
個人面談もしないし、
成績も算数だけ出せばいい。所見も算数のことだけ。
一も二もなく、お願いします、と頭を下げた。
時間割的には、1日4時間。
午前中で終わる日もあれば、間に空き時間を入れて午後までの日もある。
空き時間に授業の準備をしたり、
休んだ先生の代わりに教室で授業したり、
職員室の仕事をしたりと、割と自分のペースで進めることができる。
ありがたい話です。
責任が楽になったせいか、力が抜けた。
今までは担任だったせいもあるが、
前の晩に次の日の授業の細案を組み立てたり、
「話を聴いて!」「聞いて!」「こっち向いて!」など、
子供をこっちに向かせようと、強引な授業展開をしていた。
今は逆である。
担任じゃないから、基本言うことの半分ぐらいは聞かないと思っている。
だから、話を聴かせるように工夫している。
それは授業に興味をもたせるような導入を語ることもあれば、
いきなり難しい問題を出して集中させたり、
挨拶もなく前の時間の復習問題を解かせたり、
ただのバカみたいな笑い話(多くは自分のこと)から入ることもある。
要は「この先生の話を聴きたい」「何をするんだろう」と、
展開や喋りを工夫するようになった。
喋りについては、子供のころから聞いていた、
様々な落語や漫才のネタが生きている。
人間、もうダメかなと思うと、
何かしら工夫して生き延びるようにするものだなと、
今更ながら思う次第である。