以前、スーツを買いに行ったら、
「学校の先生ですか?」と店員さんに言われ、おどおどした。
見ただけで分かるんですかと言うと、
「そういう感じのスーツばかり選んでいるので」と。
そういう感じ?
今まで似たような感じのスーツばかり選んでいたから、自分の好みだと思ってた。
まさか職業意識とは…。
学校には研究授業というイベントがある。
全国津々浦々の教員を集める公開授業から、校内の全教員が参加して1クラスの授業を見るものまで、様々な規模がある。
授業にあたる教員は、必死に授業の準備を進めつつ、「なんで、うちのクラスだけ5時間で、他は4時間で帰るんですか?」という子供たちの罵声に耐えなくてはならない。
そして、研究授業では、ごく当然のようにスーツを着る。
フォーマルな場なのかもしれないが、子供から見たら、「なんでいつもジャージのくせに、今日だけ気取ってんだよ、俺たちだけ帰れねぇし、このハゲ!」と毒づきたくもなろう(ハゲは他の罵詈雑言に置き換え可)。
教育雑誌を読んでいた時に、子供たちの前に立つ時は常にスーツを着ていて、ユニフォームみたいなものだ、と書かれた先生がいた。
反論はないけど、違和感はある。
体育は着替えるとしても、学期中ずっとスーツでいるのは、いろいろリスクもある。
緊急時に動きにくい、子供と遊びづらいし、子供にも教員への距離感が生まれる。
だからといって、普段着慣れていないスーツを、ここぞと研究授業で着てくるのも、何だか意気がってる。
着るなら4月から毎日着て、普段は着てないなら、いつもよりフォーマルな格好にすればいいじゃないと思うが、こういう考えは意外と少数派だ。
機能性をどうするかが重要だと思う。
とはいえ、年がら年中同じジャージなのも、どうなんだろうと思う。
教師の服装なんて昔から変わらないかもしれないが、やはりそこは気にしたい。
というわけで私は、だいたいチノパンに薄い色のカラーシャツである。
この格好で研究授業をしたら、管理職から服装指導があった。
中学の生徒指導かと思った。
以前、教育実習生の激励会で、
「教員の常識は世間の非常識と言われます。そういうことのないよう、社会勉強をして教師になってください。」と宣った教員がいた。
実習生がスーツで緊張している中、その人はジャージを着ていた。
あれはツッコミ待ちだったのかなと、今でも謎である。